民主党の報道規制問題

【システム6】


最近、ネットで見たニュースのなかで、やや注目しているのが、民主党報道規制問題。

 
以下、その問題の背景をごく簡単に書くと。


元々、野党時代の民主党は、岡田克也幹事長時代から、記者会見を記者クラブ加盟社以外にも、開放していた。


仮に、政権をとったら、記者会見をオープンなままなのか?との質問について、「開放しておく」という答えが、党首(小沢氏、鳩山氏)から返ってきていた。マニフェストに組み込むまでもなく、実行することである、と。


が、政権をとった初日から、報道は規制された。基本的には、記者クラブが独占した。その他としては、雑誌記者や外国特派員が限定的に認められたが、記者クラブのメディアは、これを「記者クラブからの開放の一歩」であるかのように報じた。ネットメディアは、「セキュリティの問題」だったり、「スペースの問題」などで、締め出された。


☆何が問題なのか?


まず、公約違反である、ということに加えて、国民の知る権利の阻害。


なぜ、知る権利が阻害されるのかというと、政治権力とメディアが癒着するから。


ビデオジャーナリストの神保哲生氏のブログによれば、


記者クラブには、preferred access(優先的アクセス)や、privileged access(特権的アクセス)という特権的地位があるようです。


記者会見で、大臣や政府高官が嫌がる質問や他のメディアが嫌がる質問をすると、その記者・記者の属する報道機関が、その特権性を失うかもしれないリスクがある。



ところが、記者会見をオープンにすると、嫌な質問をしても、会見に出る資格を剥奪されるという心配がなくなるので、なんでも聞ける、という強みがでてくる。


そのオープン性がなくなると、記者会見は、ただの儀式に成り下がってしまう、と。


記者クラブのやっていること・やるべきこと


そもそも記者クラブとは、1890年に帝国議会の取材を求める記者たちが「議会出入り記者団」を結成したのが、はじまりのようです。


現在、記者クラブに近い制度があるのは、日本とアフリカのガボンくらいだと。


そんな世界的にはほとんどない制度なわけですが、海外と比較すると、かなりその仕事の質が、真逆であることが窺えます。


海外では、発生したことをストレートに発表するのは、APやロイターなどの通信社の仕事で、新聞社は、ジャーナリズムに力を注ぐ。


ところが、日本の新聞社は、通信社がやるワイヤーサービスと、新聞社がやる評論・分析・調査報道の結果を分けずにやっている。


記者クラブの間では、横並びの記事が並び、それに対して、安心する、という構図があるようです。政治家が何を話したか、メモ合わせをするなどの話があります―――海外メディアでそれをやったら、即クビになるようですが。


政治記者は、権力の監視をすべき仕事ですが、ただの儀式に成り下がった記者会見では、いかに他社と同じ記事が書けるのか、というかなり日本的なピア・プレッシャーがかかるのみです。


なんでも自民党に反対してきた民主党ですが、メディアの癌化現象は、しっかり受け継いでしまったようです。


情報受信者である国民が、さまざまなパースペクティブを獲得し、世論が多層化する必要性があると思いますが、そのためには、やはり記者会見のオープン性を維持して、さまざまな種類のニュースが閲覧できる、という状態をつくりだす必要があると思います。


主催の問題・スペースの問題・セキュリティの問題があるといわれますが、それをどう解消していくのか?


あるいは、ネットでさんざん言われても、何事も無いかのように、記者会見は、制限されたままでいくのか?


今回の記者会見制限の背景にいた人々が確定されれば、総選挙で当選がどうなるのかな〜と思います。