結核菌について

【臨床検査1】


本業は、臨床検査に関する知識を深めることなので、今日は結核菌についてのあれこれをまとめます。


結核は、全世界で毎年800万人罹患者が増え、そのうち300万人ほどが死亡します。


感染後、発症する人は10%ほどで、高齢者などの免疫機能が低下した人が罹りやすい。


一次結核は、感染後すぐ→発症。
二次結核は、感染して、長い潜伏期間後→(免疫の低下などで)発症。


日本では、感染症法にて、2類感染症に定められています。

覚え方

鳥の時差ぼけ 

鳥→鳥インフルエンザ
時→ジフテリア
差→SARS重症急性呼吸器症候群
ボ→ポリオ・急性灰白髄炎
ケ→『結核

どうせ暫定的分類なので、真面目に覚えるのが馬鹿馬鹿しいですが。


細菌学的分類


Mycobacterium属

抗酸菌(acid-fast-bacteria)→細胞壁には、ミコール酸という脂肪酸を多量に含むため、染色後、酸やアルコールでは脱色されにくい性質。


グラム陽性桿菌→基本的に、グラム陽性菌は毒性が弱いが、結核菌やノカルジア菌は、例外的に毒性が強い。

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復習:グラム染色とは??


細菌の細胞壁の構造の違いを利用して、染め分ける染色。


陽性→紫色に染まる。細胞壁外膜が、厚いペプチドグリカン層で覆われている。人体には、ペプチドグリカンは異物として認識され、攻撃するための酵素が備わっている。


陰性→赤色に染まる。細胞壁外膜は、莢膜や粘液層(膜蛋白やリポ多糖)に覆われており、抗原をカモフラージュする働きがあり、毒性を高める。リポ多糖類は、内毒素として働き、場合によって、敗血症ショックに至るケースも。

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好気性・非運動性・芽胞+莢膜は作られない。


代謝産物は、ツベルクリンナイアシンニコチン酸)です。ツベルクリン反応などは有名ですね。結核感染の判定に用いられます。ナイアシンは、鑑別テストに用いられます。他の抗酸菌よりも多く合成するためです。


菌の発育は遅く、3〜4週間かかる。早く結核菌であるか否かを知るには、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)という方法がある。


DNAを増幅させて、その菌であるかどうかを同定する検査で、実習でも用手法でやりました。普通は、機械が全部やってくれます。しかし、それは、結核菌であるか、非結核菌性抗酸菌であるのかを鑑別するに留まります。死菌か生菌かまでは分かりません。


発育のためには、「小川培地」を使用します。鶏卵やマラカイト緑が含まれています。ここで発育すれば、結核菌の存在が確認されます。


確認方法は、鏡検です。ここで、ガフキー号数という概念があり、これは菌数によって、号数を振り分けるものです。


鏡検のための染色法は、「チール・ネルゼン染色」を使用します。背景は、「青」、菌体は「赤」です。喀痰などを使用します。


化学療法について。


イソニアジド・リファンピシン・ストレプトマイシン・ピラジナミドの4剤の短期併用をするけれど、近年では、3剤使用が推奨。特に、ピラジナミドが、肝障害が合併しやすく、薬剤の選択については、患者によって異なるようです。


近年では、多剤耐性結核菌(リファンピシンや、イソニアジドなどに耐性)が問題となっている模様。


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この前から意識的な勉強をしてきて、気づいたことは、包括的に勉強しようというよりは、自由連想的に知識をつなげていくほうが、効率的ではないか、と思い始めた。


今回のは、結核菌について、包括的に整理したけれども、実は、どんどん横にずれていくような覚え方のほうがいい気がする。


記憶方法については、モダリティ(五感)を活用するのが、大事だけれど、さらにコツがある。それはルーズ・リーフのほうにまとめてあるので、それは今度書いておきたい。


今後も臨床検査に関する知識はどんどんブログにて更新していきたい。