高速道路の無料化

【システム5】


今日は、高速道路無料化について、ネット情報を使って、その是非を整理してみます。


[賛成派]

1.正の経済効果(7兆8千億円)がある。

2.受益者負担の原則に立ち返ることになる。


山崎養世氏という方の主張ですが、以下にカンタンなまとめ。


1について。単なる利益や便益の向上を目指すという即物的なものではなく、工業化社会を表徴する東京一極集中を解消すること。高速道路無料化の政策とは、人を分散させて、時間と空間のゆとりを持たせるというグランドデザインを実現するための方策である、らしい。


もう少し細かくいうと、地域振興、農林水産業の発展、観光、教育の充実など、内需主導の社会のこと。


走りやすくなれば、運送業は儲かる。トラックの輸送費が下がり、地方産品を消費地に運びやすくなる。読売新聞には、具体的な利益の数値があがっていたみたいだけれど。


それを通じて、経済効果が見込めるということらしい。地域の経済活性化を図る生活道路になる、という。


2について。高速道路ユーザーは、年間2兆3億円の通行料金のほかに、ガソリン税などを通じて、年間2兆円にのぼる税金を払っているようだ。


無料化に必要な財源は、高速道路ユーザーの支払う税金で十分にまかなえるため、一般国民の税金を投入する必要はないという。一世帯、1万円以上の支出という計算もあるけれど。


つまり、二重取りした税金で、無駄な道路をつくることは無駄であり、ガソリン税だけでどうにかなる。というわけで、受益者負担の原則に戻ることになる、という。無駄な道路をつくることは受益者と負担者がずれることになるのだ―――この場合の主な受益者とは、道路官僚や道路政治家、建設業に携わる人々を指す。


[反対派]

1.交通ネットワークの秩序破壊

2.環境破壊


1について。バス業界とかフェリー業界などの「人」の運送をする会社は、高速道路の無料化によって、交通機関の“棲み分け”が崩れる懸念をする。つまり、高速道路のせいで、自分らが儲からなくなるって話。


2について。CO2が増える、というもの。NPO環境自治体会議環境政策研究所によると、少なくとも、年980万トン増加するという。


ただし、先の山崎氏の指摘によると、基本的に首都の高速道路は混むが、地方の高速道路はガラガラだ。そして、首都高や阪神高速は、無料化の対象から外れるので、交通量が増えることはない。


そして、地方の場合、一般道路から車が高速道路のほうに流れるので、燃費のよい走りが出来るという―――こまめにブレーキを踏んだり、アクセルを踏んだりすると燃費が悪くなるから。だから、むしろ排出される二酸化炭素量は減るはずだ、と。


けっこう具体的な数字を見てしまうと、それが真実であるかのように思ってしまうのは、人間の心理なのかもしれないけれど、調べる前提や調べ方によっては、数値はいくらでも変わりうる。この場合、どちらが正しいのかは、分からないのだけれど。


民主党は、温室ガスの目標も掲げていて、90年代比25%削減が目標だという。読売新聞では、高速道路の無料化と温室ガス削減のバランスを堂とるのかが問われる、と書いていた。


どう両立するのかは、また先の山崎氏によれば、車の構造の問題になるようだ。つまり、現在の内燃式のガソリンエンジン車を前提するのではなく、エコ車の前提としなければ、話に意味がないという。


けっこう高速道路の無料化については、「たいしたことない」と思っていたけれど、けっこう大きい話なんだなーと思いました。


しかし、ネットは便利すぎて、いいのかなーという気さえしてくる。このまとめさえ、たいして努力もせずに完成してしまえるので。


いずれにせよ、メリットとデメリットの両方を勘案して、いかにメリットのほうを大きく出来るのか、デメリットを小さくできるのか、という問題なのだと思います。


おわり。