将来、どこにつかまるの?
【生活世界―システム2】
http://blog.tatsuru.com/2009/07/16_1121.php
ポイント:ナショナリズム(国益主義)とパトリオティズム(祖国愛)を区別している。
内田的定義 ナショナリスト→帰属意識の希薄な若者が、何の資格もなく名乗れるアイデンティティ。
パトリオット→自分を取り巻く地域的なものに対して、利他的態度をとる。それが高じて、帰属意識が「国民国家」にまで至る人。
元々の意味で考えると、ナショナリズムとパトリオティズムを区別できるという前提は成り立たない―――日本のことだけを考えていれば、国家にとっての経済的実益があがるというのは、ヘンだ。グローバル時代なのだから。
とはいえ、内田氏に言わせれば、(若者の)ナショナリストとは、国益を望む立場というよりは、そういうポーズをとることで、帰属意識を安定させようとするエゴイストの群れだ―――あくまで、国益を望むという利他性に対してエゴイストだということ。
そう考えれば、元々のナショナリストとは、そうだと名乗る動機が違うのかもしれません。そこらへんをちょっと整理してみる。
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☆「大衆」はどこから来て、何に寄りかかる?
ハンナ・アーレントという政治哲学者によると、「大衆」とは、「無構造」です。
もともと、発展途上の資本主義社会では、階級社会が根付いていた。社会的にどこに属しているのか意識しており、それに基づいて、集団的利害を追及する。
マルクス主義などの従来の社会・政治理論ではそう想定されていた。
しかし、資本主義が成熟してくると、人材の流動性が高まってくる。大都市に様々な階層、地域出身の人々が集中して、混在する。そして、人々を政治制度に結び付けていた労働組合などの媒介的な諸組織が機能しなくなる。
すると、ナショナリスティックな意識を失い、アトム化していく。「お国のために」の文句が働かなくなって、みんなが個人主義的になっていく(ここまでが、アーレントの分析)。
アメリカなどは、宗教コミュ二ティがその穴埋めをするが、日本は、包摂的で地域的な人間関係が大衆を心理的にまとめていた、とされる。
しかし、日本のそうした人間関係も崩れてきた。まとめるための「共通前提」―――いい学校、いい会社、いい人生というパターンなど―――がおびやかされて、「みんなの正しさ」が分からなくなってきたからだ。
アトム化した個人は、AC(アダルト・チルドレン)系になったり、引きこもり系になったりする。
多くは、AC系の人間になるのだろうけど、自らの身体性だけが、自己信頼になってしまう。「集団」とか「共同体」とかが、信頼できるところではなくなってきている。すぐ会社辞めるとかは、その話の延長線上にあるんだろう。
身体に「いい感じ」をもたらす、うわっつらの人間関係をこなすために、過剰に空気を読んで、疲れてくる。
「尊厳(何があっても、OKという感覚)」が低い若者は、何を心のよりどころにするのか?人間関係が第一だけど、それもできなきゃ?
いろいろあるだろうけど、宗教とか。そこに、「国民国家」が帰属する場所として、こころに入り込んでくる。それが、ここで指摘されている、自称ナショナリストの若者たちなのだろう。
いったん、整理終了。
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☆で、自分は?
自分は、どちらかというと、引きこもり系の実存で、ネットの人間関係を主にして、尊厳を養おうとしているふしがある。
ヘンな話だが、リアルの人間関係は、基本的に信頼できない。信頼できないなりに、冗談を言って笑いあったりしてるが、結局空気を過剰に読んで、適応するのが、関の山だ。
やっぱり「秘密」とかを打ち明けて、「OK」だと思われる、という体験が乏しいとこうなってしまうのかもしれない。というか、自分の場合には、特殊な事情があるので、それもある。
それではダメだと指摘されることもあったけれど、結局、AC系の実存にシフトするだけで、誰に対しても胸を張って「何があってもOK!」といえるような人間にはなれない気がする。多くの人もそうだろうけど。
まあ、性格とか育ち方とかいろいろあるだろうけど、今のひきこもり系でも、あんまり問題を感じていなかったりする。
でも、どんどん今までの家族が、解体していくと、自分はどんどん孤独になる。そして、何か問題が起こったときには、ネットの人間関係は、自分を助けてはくれない。
ひとりでも平気である、という心的状態にもっていくための修行をする、という宗教的選択もあるけれど、あまり心許ない。
とりあえず、今後考えてみたいのは、「承認欲」を「どこで」「どうやって」満たすのか?ということ。まあ、今まで書いたことの総まとめになるんだろうけど。
そのあとは、時事ネタをちょっと考えてみる。とはいえ、学者でもなんでもないただの若者なので、歴史的な知識とかもないから、ルーツを探って書くみたいなことは苦手だ。
そこらへんも克服していけたら、と思う。